県議会の教育警務委員会は9月に、2回開催されました。私は、この2回の委員会で、富山市会社役員夫婦の殺人放火事件、高校無償制度への所得制限導入問題、生活保護費減額に伴う就学援助制度への影響、奨学金返還金滞納問題、の4つの問題について取り上げました。
2010年4月に、富山市大泉の会社役員夫婦が殺害され、住居が放火された事件。昨年10月に別件で逮捕されていた県警の現職警部補が、殺人と放火などの疑いで12月に逮捕されました。殺人放火事件での現職警察官の逮捕は、県内外に大きな衝撃を与えました。ところが、7月24日になって富山地検は、殺人などの容疑については嫌疑不十分として、この元警部補を不起訴処分としたのです。
昨年の逮捕時には、容疑を認めていた元警部補は、5月になって供述を一転。結局は、自白以外に確たる証拠が見当たらず、その自白さえ覆って、逮捕時の根拠は総崩れとなったのです。
自白以外に確たる証拠がなかったというのが本当であれば、不起訴処分はしかたがありません。これまでの数多くの冤罪事件での被害者のたたかいが、まさに強引な起訴を許さない環境をつくってきたとも言えます。それでは、いったい、県警の捜査は何だったのか・・・。逮捕されたのが警察官であったばかりに、釈放は「身内に甘いからではないのか」との疑念が湧くのも当然です。
私は9月6日の質問で、この問題を取り上げました。質問の要点は、①県警は、検察から自白以外に確たる証拠がなかったとされた点をどう受け止めているか、②自らの捜査について反省している点はないのか、③凶悪事件の真犯人が逮捕されていないという重大事態にたち、真犯人逮捕のためどう取り組むのか、でした。県警はことの事態と原因を、県民に丁寧に説明する責任があります。
しかし、県警本部長の答弁は「今回の不起訴処分については、深く受け止めている。遺族の気持ち、県民の考えにしっかり応えるために、真相の解明に全力を尽くしていきたい」というもの。刑事部長の答弁も「捜査は適正に行ってきたと認識している」「予断なく、証拠書類など一から捜査しなおし、犯人逮捕のため全力でとりくむ」との一点ばり。県民への疑問に正面から答えようとの姿勢は、感じられませんでした。やはり、警察の隠ぺい体質というのは、議会答弁でもまったく同じです。
捜査が振り出しにもどったこの事件。これからも議会内外で、県民の声を正面からぶつけていかなくてはなりません。